の日記(仮)

プログラミングのこと、読んだ本のこと、見た映画のことの備忘録のようなもの

「リコリス・ピザ」の感想

ポール・トーマス・アンダーソン監督(以降PTA)の「リコリス・ピザ」を見てきた。

PTAの監督作では、「マグノリア」が1番好き、「ブギーナイツ」も好きで、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」はラストシーンが好きって感じ。本作にはついては、PTAの近作の中では程よく力が抜けていて、それがとても気持ち良い映画だった。こういう映画の方がソフトを買って何度も見てしまうなぁ。

 

さて本作を見たいと思ったきっかけは、そもそもPTAの映画は公開されれば見に行きたいのが、事前にYouTube「BLACKHOLE」(BLACKHOLE - YouTube) で「リコリス・ピザ」はモラトリアムを扱っていると聞き、いま見ておきたいタイミングの映画だと思ったからだ。やりたいことがわかっていない人らの話とも聞いていてなおさらちょうどよいタイミングだと思った。

 

私は映画を見ながら、よくほかの映画のことを考えてしまうのだが、本作では、「バッド・ルーテナント」と「エブリバディ・ウォンツ・サム」を思った。

 

ヴェルナー・ヘルツォーク監督でニコラスケイジが主演の「バッド・ルーテナント」を思い出し、映画館で観たいなぁとか思ったりしていた。アベルフェラーラ監督の「バッド・ルーテナント」は未見。アベルフェラーラは「天使の復讐」がかっこよかった記憶がある。ソフトほしいなぁ。2017年ぐらいに京都みなみ会館で、カナザワ映画祭かなんかで観たような。

 

リチャード・リンクレイター監督「エブリバディ・ウォンツ・サム」は、対比として思い返していた。「リコリス・ピザ」は「エブリバディ・ウォンツ・サム」にあるような多幸感、勢いがあるような映画ではなかった。「エブリバディ・ウォンツ・サム」は一瞬のモラトリアムであり、だからこそ、そこで一気に燃えるようなイメージ(というか、そんな印象の記憶がおぼろげにあるというぐらい)だが「リコリス・ピザ」はダラダラとモラトリアムが続く。後半、妙にスリリングなシーンが挟まれて面白いのだが、ぼやーんと観ていた。これは学生の頃に見ていたら、次の日、休むところだった。そういう緩さ、自由、伸び伸びがあった。(次の日、ちゃんと出社した。。。)

 

モラトリアムについて、そのダラダラに飽きるころがモラトリアムの終了期?とか本作を見て思った。

そして、

『リコリス・ピザ』とポール・トーマス・アンダーソン映画の世界/高橋ヨシキ×柳下毅一郎×てらさわホーク【ネタバレあり】 - YouTube (1:23:43 あたりからの会話)で「達観できねぇから大変なんだよ。この歳になっても」が感動的だった。この会話まで含めて「リコリス・ピザ」鑑賞体験であり、この会話が最も感動的だった。